• HOME
  • コーヒーと企業
  • イタリアの家庭には必ずある?「ビアレッティ」の歴史と、自宅をバルに変える魔法の器具「マキネッタ」

イタリアの家庭には必ずある?「ビアレッティ」の歴史と、自宅をバルに変える魔法の器具「マキネッタ」

皆さん、こんにちは!
そして、サイトへのご訪問ありがとうございます^ ^

突然ですが、皆さんは「イタリアの朝」と聞いて、どんな風景を思い浮かべますか?

陽気な挨拶、焼きたてのパンの香り……そして何より欠かせないのが、キッチンから聞こえてくる「コポコポ……」というコーヒーが湧き上がる音と、濃厚なエスプレッソの香りです。

実は、イタリアの家庭には「一家に一台」必ずあると言われる、国民的なコーヒー器具があります。
それが今回ご紹介する「マキネッタ(モカポット)」です。

コーヒーについて研究するこのシリーズ。第1回目は、そんなマキネッタの代名詞であり、エスプレッソの本場イタリアで知らない人はいない超メジャー企業「ビアレッティ(BIALETTI)」をご紹介します。

日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、この企業のストーリーを知れば、きっとあなたも「ひげおじさん」のマークがついた器具をキッチンに置きたくなるはずです^ ^

ビアレッティ(BIALETTI)とは?


「ビアレッティ」という社名は、日本ではあまり聞き覚えがないかもしれません。
しかしイタリアに行けば、ローマでもミラノでも、街を歩けば必ずこの看板を目にします。

ビアレッティ社の代表的な商品は、上の写真にもある「モカエキスプレス(通称:マキネッタ)」
一見するとポットのようですが、直火にかけるだけで濃厚なエスプレッソ風コーヒーが抽出できる優れものです。

その普及率は凄まじく、イタリア国内でのシェアはなんと90%以上とも言われています。日本で言うところの「炊飯器」や、大阪の家庭における「たこ焼き機」くらい、あって当たり前の存在です。

ちなみに、商品名に「モカ」とついていますが、これはコーヒー豆の「モカ(イエメン産)」や、チョコ入りの「カフェモカ」とは関係ありません
コーヒーの積み出し港として栄えた「モカ港」にちなんで名付けられたと言われています。

歴史:洗濯機から生まれた革命

Signor Bialetti goes Songkhla / jfantenb

ビアレッティの歴史は古く、創業は1919年。すでに創業から100年以上が経過している、イタリア屈指の老舗企業です。

発明のヒントは「妻の洗濯」

ビアレッティを語る上で欠かせないのが、世界中で愛される「モカエキスプレス(マキネッタ)」の発明秘話です。

1933年、創業者のアルフォンソ・ビアレッティは、ある日妻が洗濯をしている様子を眺めていました。当時の洗濯機は、熱湯と洗剤を沸騰させ、パイプを通じてお湯を噴き上げさせる「煮洗い式」でした。

「この仕組み、コーヒーにも使えるんじゃないか?」

そう閃いた彼は、蒸気圧でお湯を押し上げ、コーヒー粉を通してお湯を抽出する画期的な器具を発明します。
これが、世界初の直火式エスプレッソメーカー「モカエキスプレス」の誕生です。

それまで「バール(喫茶店)で飲むもの」だったエスプレッソを、「自宅で手軽に飲めるもの」に変えたこの発明は、まさにイタリアのコーヒー文化における革命でした。

愛される「ひげおじさん」の正体

ビアレッティ製品のトレードマークといえば、指を立てて何かを注文しているような「ひげおじさん(l’omino con i baffi)」

「創業者ですか?」とよく聞かれますが、実はモデルは有名なイタリアのコメディアンだと言われています(諸説あり)。

1950年代にテレビCMで大ブレイクし、「カルセロ」という番組が終わったら子供たちが寝る、という社会現象まで巻き起こしたそうです。

日本でいう「サザエさんのエンディング」みたいな存在だったのかもしれませんね。

【厳選】あなたに合うビアレッティはどれ?

さて、ここからは実用的なお話です。
「ビアレッティを使ってみたいけど、種類が多くてどれを選べばいいかわからない」という方のために、ライフスタイル別のおすすめ製品を厳選してご紹介します。

実はマキネッタ、数千円で買えるのに「数十年使える」という、恐ろしくコスパの良い器具なんですよ。

① 初めてならこれ一択「モカエキスプレス」

ビアレッティのアイコンであり、世界で最も売れているモデル。
素材はアルミ製で、使い込むほどにコーヒーの香りが染み付き、道具を「育てる」楽しみがあります。

こんな人におすすめ

・とにかく王道を試したい人
・自宅のコンロが「ガス火」の人(※IH非対応の製品もあるので注意)

サイズは色々ありますが、日本人のマグカップ感覚なら「3カップ用」が一番使いやすくておすすめです。

② 現代キッチンの救世主「ヴィーナス」

「うちはIHコンロだから使えない…」と諦めるのはまだ早いです。
この「ヴィーナス」はステンレス製で作られており、IHに完全対応しています。

スタイリッシュなデザインで、アルミ製よりもお手入れが楽(変色しにくい)なのも嬉しいポイント。現代の日本のキッチン事情には、この製品が一番合っているかもしれません。

③ お店のような泡立ち!「ブリッカ」

「マキネッタは美味しいけど、エスプレッソ特有のクレマ(泡)が立たないのが不満」
そんな方のために開発されたのが、この「ブリッカ」です。

特殊なバルブを搭載することで、通常よりも高い圧力をかけて抽出。
その結果、マキネッタでありながら濃厚なクレマを作り出すことに成功しました。ブリッかで淹れたコーヒーに砂糖をたっぷり入れて飲むのは、まさに至福です。

マキネッタの誤解を解くQ&A

最後に、よくある質問にお答えします^ ^

Q. お手入れが面倒くさそう?

A. 実はドリップより簡単です。

マキネッタは「洗剤を使ってはいけない」のがルール

水でさっと洗って乾かすだけなので、スポンジでゴシゴシ洗う手間すらありません。「ズボラな人にこそおすすめ」と言われる理由です。

Q. エスプレッソマシンとは違うの?

A. 厳密には違います。

電気式のエスプレッソマシン(9気圧)に比べ、マキネッタ(約2気圧)は圧力が低いため、味わいは少し優しくなります。

しかし、ドリップよりは圧倒的に濃厚。イタリアではこれを「モカ」という独自のジャンルとして愛しています。

まとめ:自宅をイタリアのバールにしよう

今回は、イタリアの国民的コーヒー器具メーカー「ビアレッティ」についてご紹介しました。

今回の内容のポイント

  • 100年の歴史:洗濯機からヒントを得て生まれた、イタリアの伝統企業。
  • 自分に合う一台がある:王道のアルミ製、IH対応のステンレス、泡立ち重視のモデルなど選択肢が豊富。
  • コスパ最強:数千円で買えて、手入れも水洗いだけで数十年間使える。


ビアレッティは単にコーヒーを淹れる道具ではありません。
「自宅で、誰でも手軽に、最高に濃いコーヒーを楽しむ」というイタリアの陽気なライフスタイルそのものを提供してくれる存在です。

朝起きて、マキネッタを火にかけ、部屋中にコーヒーの香りが広がるのを待つ数分間。そんな豊かな時間が、たった数千円で手に入るとしたら、これほど素敵なことはありません。

ぜひあなたも、お気に入りの「ひげおじさん」をキッチンに迎えて、毎朝をイタリア旅行気分に変えてみませんか^ ^

おすすめの記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。