コーヒーに関わる企業研究 「キーコーヒー株式会社」
コーヒーは世界で取引されている商品で、コーヒーに関連する企業は世界中にある。コーヒーを抽出して提供する企業からコーヒー器具を開発する企業まで様々だ。
コーヒーについて研究していくうち、そんな企業たちが持つストーリーも非常におもしろいことに気が付いたので、皆さんにご紹介していこうと思う。
第2回目は、日本のコーヒー産業を切り開いた一大老舗「キーコーヒー株式会社」を紹介。
キーコーヒーについて
日本のどの町にも必ずといっていいほどある鍵のマーク、これがキーコーヒーのロゴマークだ。キーコーヒーの名前を知らない若者でもこのマークを見たことがないという人はあまりいないのではないだろうか。
最近のおしゃれなカフェよりは、昔ながらの喫茶店に置いてあるイメージの強いキーコーヒー。これは戦前戦後の日本のコーヒー業界を切り開き、様々な喫茶店にコーヒーを卸していたのがこのキーコーヒーだからだ。
ちなみに現在、キーコーヒー株式会社は東証一部上場企業。
歴史
- 1920年:柴田文次が横浜市にコーヒー商「木村商店」を創立
- 1921年:キーコーヒー最初のヒット商品「コーヒーシロップ」販売開始
- 1928年:缶詰コーヒーの製造開始
- 1928年:店名を木村コーヒー店に改め、「キーブランド」採用
- 1929年:「キー缶」発売。海底でもコーヒー豆本来の風味を味わうことが可能に
- 1945年:本店、横浜大空襲で焼失
- 1953年:キリマンジャロ、ブルーマウンテンの輸入成立
- 1954年:インスタントの前身「ソリブルコーヒー」発売
- 1955年:コーヒー教室開始
- 1956年:エスプレッソ抽出機を日本で初めて導入
- 1961年:「キーインスタントコーヒー」発売
- 1969年:柴田文次がコーヒー業界で初めて「藍綬褒章」受章
- 1976年:トラジャ農園事業開始
- 1989年:キーコーヒー株式会社に社名変更
- 1990年:ドリップパック発売
- 2010年:KEY’S CAFE1号店オープン
- 2015年:illycaffe社レギュラーコーヒー商品全般の日本国内での販売開始
- 2017年:リプトンブランド家庭用紅茶商品の日本国内での販売開始
個人的に主要と思われる出来事だけをピックアップしたつもりだが、かなり長くなってしまった。
こうして改めてみると日本のコーヒー文化を切り開いてきた会社ということがわかる。
スターバックスやタリーズが日本に進出する40年近く前にエスプレッソマシンを置いたコーヒースタンドを展開していたのが個人的には一番驚きだった。
最新技術/商品
KEY クリスタルドリッパー
ダイヤカット形状が特徴のドリッパー。
ダイヤの形状に沿ってコーヒーが流れ落ちることで、抽出スピードをコントロールし最適な抽出ができるとのこと。
コーヒーの味を安定させるのが難しい抽出方法ハンドドリップにおいて、技術不要で誰でも美味しく淹れることができる器具を作りたいというのがコンセプトらしい。
「らしい」「とのこと」みたいな表現なのは僕が使用したことがないから。
お金に余裕ができたら購入したい。
KEY COLD CREMAディスペンサー
アメリカで流行した泡のコーヒー、別名ナイトロコーヒー(Nitro cold brew)。窒素とコーヒーを混ぜることでクリーミーでふわっとした泡を作り出し、ミルクなしでもまろやかなコーヒーを楽しめると話題になった。上の写真は黒ビールではなくナイトロコーヒーである。
キーコーヒーもこの泡コーヒー抽出マシンの製造に着手しており、KEY COLD CREMAディスペンサーは空気を取り込んでコーヒーを泡立てる。味わいはナイトロコーヒー同様にまろやかで甘みのあるコーヒーが楽しめる。
こちらは業務用のマシンになるので家庭で購入することはないだろうが、こちらに導入店舗の一覧があるので、自宅近くにある人は話の種に一度尋ねるのもよいだろう。
クオリティコントロールシステム
コーヒーの抽出を可視化できるドリップスケールを販売するブランド「acaia」との共同開発で生まれたシステム。acaiaのコーヒースケールと連動させることで、コーヒー量、抽出時間、給湯量をアプリ上で観測することができるシステム。
正直家庭で気軽に飲みたいコーヒーにそこまでするかとは思うが、コーヒーという趣味にもハイテクの波が押し寄せているらしい。
テーマは
「コーヒー×IoT コーヒーをデジタル化するとおいしくなった。」
らしい。
流行りのなろう系タイトルを取り入れたのだろうか。
KEY Post-Harvest Processing
これが個人的に一番興味をそそられたキーコーヒーの技術で、収穫後のコーヒーチェリーを氷温下で熟成させる方法。
これまで、コーヒーチェリーは収穫後にすぐ精製(加工)して果肉を除去するのが一般的だった。これはコーヒーの収穫地域が赤道付近ということもあり、コーヒーチェリーの果肉が腐りやすいためだ。
しかし、キーコーヒーは収穫後のコーヒーチェリーを氷温で保存することで、劣化を避けながらさらに熟成させる方法を編み出した。商標登録されている名称は「氷温熟成®︎」。ポイントは氷温まで下げつつコーヒーチェリーを凍らせない技術とのこと。
収穫後にさらに熟成させることで香味成分が増加したり、糖度が上昇したりと様々な効果があるらしい。
従来のコーヒー精製法(加工法)に関してはこちら
まとめ
- キーコーヒーは日本の一大老舗コーヒー問屋
- スタバよりはるか昔からエスプレッソを日本で出していた
- 最新技術の研究も怠らず、「氷温熟成®︎」はすごく興味深い
第1回はこちら