ディカフェコーヒーのつくり方『有機溶媒抽出法』について徹底解説!
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カフェインを控えたい人々にとって、ディカフェ(カフェインレスコーヒー)はとてもありがたい選択肢です。
その製造方法にはさまざまな種類があり、中でも「有機溶媒抽出」という方法は歴史が長く、世界で広く使われています。
本記事では、「ディカフェ 有機溶媒」というキーワードをもとに、有機溶媒抽出の仕組みや特徴、安全性、そして他の製法との違いについて詳しく解説しますので、ぜひ最後までお付き合いください^ ^
※現在日本では「有機溶媒抽出法」は禁止されています。
ディカフェとは?
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ディカフェとは、コーヒー豆からカフェインを除去したコーヒーのことです。
通常のコーヒーと比べて90%以上のカフェインが取り除かれており、妊娠中や授乳中の方、カフェインに敏感な方でも安心して飲むことができます。
ディカフェの製造方法にはいくつか種類がありますが、その中でも「有機溶媒抽出法」は最も古くから行われている方法です。
有機溶媒抽出法とは?
有機溶媒抽出法は、1906年にドイツで開発された世界初のディカフェを生成する技術の名称です。
この方法では、有機溶媒(塩化メチレンや酢酸エチルなど)を使用してコーヒー豆からカフェインを除去します。
有機溶媒抽出法の手順
さて、「コーヒー豆の中のカフェインを溶かして除去する」有機溶媒抽出法ですが、さらに2つの方法に分類できます。
直接法(ケミカルプロセス)
「直接法」とはコーヒーの生豆が有機溶媒に直接触れる方法のことで、以下の手順でカフェインを除去します。
直接法の手順
- 生豆を蒸気やお湯で湿らせ気孔を開く
- 有機溶媒に1のコーヒー豆を漬けてカフェインを除去する
- 生豆を十分に洗浄し、溶媒を洗い流す
- 生豆を乾かすことで加熱しつつ溶媒を飛ばす
この「直接法」が昔からある方法で「ケミカルプロセス」とも呼ばれます。
間接法
直接法に対し、「間接法」とは生豆を有機溶媒に直接触れさせない方法で、以下の手順でカフェインを除去します。
間接法の手順
- 生豆を熱湯につけて、可溶性の成分を全て抽出
- 生豆を取り出し、1のお湯を有機溶媒の入った容器に注ぐ
- 2を加熱し、カフェインを含んだ溶媒を蒸発させて除去する
- 3に生豆を入れて、1で抽出したカフェイン以外の成分を生豆に再び吸収させる
この間接法を「スイスウォータープロセス」と呼ぶこともありますが、現在のスイスウォータープロセスは有機溶媒を使用せずに水を使用し、より安全な処理方法に変わっています。
そこで、上記の方法とスイスウォータープロセスを区別するために、「間接法」と呼ぶのが一般的です。
※スイスウォータープロセスについてはこちら
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有機溶媒抽出法のメリットとデメリット
有機溶媒抽出法が発明された当初、溶媒に「ベンゼン」が使用されていました。
しかし、ベンゼンには残留毒性が問題視されたため、ジクロロメタンなどの沸点が低い溶媒を使い、加熱することで完全に溶媒を飛ばす方法に変わります。
日本ではなぜ禁止されている?
日本では、有機溶媒抽出法によるディカフェコーヒーは輸入・販売ともに禁止されています。
- 残留物への懸念
塩化メチレンなどの有機溶媒は適切に処理されても微量残留する可能性があります。この残留物が人体へ与える影響が完全には解明されていないため、安全性への懸念があります。 - 代替技術の普及
スイスウォータープロセスや超臨界二酸化炭素抽出など、安全性と品質を兼ね備えた製法が普及しているため、有機溶媒抽出法への依存度は低下しています。
まとめ
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有機溶媒抽出法は、ディカフェ製造技術として長い歴史があります。
しかし、安全性への懸念から日本では使用されておらず、スイスウォータープロセスや超臨界二酸化炭素抽出など、安全性と品質を両立した製法が主流となっています。
そこで次回以降の記事で「スイスウォータープロセス」や「超臨界二酸化炭素抽出法」について、詳しくご紹介していきます^ ^
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