コーヒーの焙煎について 焙煎と味の変化
コーヒーの味を決める大きな要素の1つとして「焙煎」がある。
焙煎によってコーヒーの味は大きく変わるが、そもそも「焙煎」ってなかなかイメージしにくい。
この記事ではそんな「焙煎」についてなるべく簡単に紹介していく。
本当に基本的な内容だけなのでコーヒーに詳しい方にとっては物足りないと思うけれども、よかったら見ていってね。
そもそも焙煎?っていう方はこちら
焙煎レベルについて
前回の内容でも触れたが、焙煎したコーヒー豆には段階がある。
順に
- ライト
- シナモン
- ミディアム
- ハイ
- シティ
- フルシティ
- フレンチ
- イタリアン
で、下にいくにつれて焙煎時間が長くなり、コーヒー豆の色が黒くなっていく。
上の画像で言うと、左上から順に「ライト」「シナモン」「ミディアム 〜 ハイ」「ハイ 〜 シティ」「シティ 〜 フルシティ」となり、一番右下が「フレンチ〜イタリアン」くらい。
大体ね。
最近では、よほど変わったコーヒー屋さんを尋ねない限り「ライト」や「シナモン」くらいの焙煎度の豆を売るお店に会うことはない。
そこでこれからの説明は、
- 浅煎り:ミディアム〜ハイ
- 中煎り:ハイ〜シティ
- 中深煎り:シティ〜フルシティ
- 深煎り:フレンチ〜イタリアン
と定義する。
焙煎と味の変化
それでは、前章で見てきた焙煎度合いの名称を基準に味の変化を解説していこう。
ちなみに、この説明の内容は
「全く同じコーヒー豆を、焙煎時間以外を全く同じ条件で焙煎して比較した場合」
のお話。
別の産地のコーヒー豆や、別のお店のコーヒー豆を比較したときは当てはまらないこともある。
苦味
まずは苦味の変化。
苦味はけっこう単純で、焙煎すればするほど強くなっていくと思って間違いない。厳密には少し違うけれど、大枠間違っていない。
これは、コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸を加熱してできる「クロロゲン酸ラクトン類」、アミノ酸と糖類を加熱してできる「コーヒーメラノイジン」が増加していくため。
そこで「深煎り」のコーヒー豆が最も苦味を強く感じる。
苦味成分についてはこちら
酸味
つづいて酸味。
酸味成分の代表物質はクロロゲン酸やクエン酸、焙煎で発生するキナ酸やカフェー酸などで、焙煎を始めると生豆中で化学変化が起こり、これらの酸味成分の量が増えていく。
そして、「ミディアム 〜 ハイ」くらいに焙煎が進むと酸味の量がピークになり、ピークを過ぎると揮発や分解によって酸味成分が減少し酸味が減っていく。
つまり、酸味は「浅煎り」が最も強く、それ以降は酸味が減っていく。
酸味成分はこちら
結論
結論は
「焙煎が深ければ苦味が目立ち、焙煎が浅ければ酸味が目立つ」
だ。
この苦味や酸味に加え、焙煎によって「油分」「甘み」「けむさ」「香り」「コク」などの成分も変化していき、多種多様なコーヒーが生まれるのだが、そこまで説明するとちょっとした同人誌くらいになるので、ここでは踏み込まない。
冒頭でも書いたが、この記事はコーヒーにあまり詳しくない方に向けて書いているということで許してください。
焙煎とカフェイン量の変化
これは余談だが、カフェインは焙煎によって総量にどのような変化が起こるか。
実はカフェインは焙煎が進んでもそれほど総量に変化が起きない。
カフェインは非常に熱に強い成分で、焙煎中に分解したり他の成分と反応したりすることがないためだ。
ただ、カフェインには昇華性(昇華点は178℃)があり、焙煎によってコーヒー豆の温度が上がるにつれて少しずつ豆から抜けていく。
しかし、その減少率はそれほど高くなく、浅煎りの豆と深煎りの豆でカフェインの差はほんの少しだ。
ちなみに、カフェインの昇華という同じ理由で、ほうじ茶は他の緑茶に比べて若干カフェインが少ない。
自分好みのコーヒーを焙煎度から探す
コーヒーの味は様々な要因で決まる。
「飲み手」や「飲み手の体調」はもちろんのこと、「産地」「加工法」「淹れ方」「水」「鮮度」そして「焙煎」。
そこで、自分が好むコーヒーを探す際は、まずは焙煎度合いから探すという方法もある。
それだけ焙煎が味に与える影響は大きい。
自分は「酸味好き」か「苦味好き」か「バランス好き」かをまず考え、自分が好きな成分が最も出やすい焙煎度合のコーヒー豆を購入してみよう。
ただし、深煎り(フレンチ〜イタリアン)は結構クセが強く、好みを探っている段階の方にはおすすめできないので、
- 酸味好き:浅煎り
- 苦味好き:中深煎り
- バランス:中煎り
と考えてコーヒー豆を選ぶと、好みを大きく外すことは少なくなる。
まとめ
- 焙煎には度合いがあり、「ライト、シナモン」はあまり売っていない
- コーヒー豆は焙煎が浅いと酸味が、焙煎が深いと苦味が強くなる
- カフェインの量は焙煎では大きく変化しない
- 自分の好みを焙煎度合いから探すのもあり
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